伊東版 2018年07月07日
■3回にわたり1300万円
伊東市が2015年に購入したホテル跡地をめぐり、売却業者から現金計1300万円を受け取ったとして、東京地検は6日、収賄罪で前市長佃弘巳容疑者(71)を起訴した。
また地検は、跡地を売却した不動産会社「東和開発」の社長森圭司郎容疑者(48)を贈賄罪で、仲介役の会社員稲葉寛容疑者(50)を収賄ほう助罪で起訴した。3人の認否は明らかにしていない。
起訴状によると、佃容疑者は現職だった15年8~9月、東和開発が所有していた同市桜木町のホテル跡地を市が購入した見返りとして、森、稲葉両容疑者から3回にわたり現金計1300万円を受け取ったとされる。
森容疑者は300万円を直接佃容疑者に渡すほか、稲葉容疑者が実質的に経営する会社の口座に計1200万円を振り込んだ。稲葉容疑者はうち計1000万円を出金し、佃容疑者に渡していた。授受は東和開発の事務所や移動中の乗用車内などで行われたという。
警視庁と県警の合同捜査本部が6月、3人を逮捕していた。(時事)
■小野市長「信頼回復へ全力」
伊東市のホテル跡地を巡る贈収賄事件で、東京地検が6日、収賄罪で前市長の佃弘巳容疑者を起訴したことを、市内の関係者は冷静に受け止め、今後の動きを注視している。
小野達也市長はコメントを発表し、「大変遺憾であり、市民に多大な迷惑と心配をお掛けしていることを改めて心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
再発防止に向けて過去の土地取引に係る業務の検証を行い、市長の政治倫理の確立を図るとし、「職員一丸となって市民の信頼回復に全力で取り組んでいく」との決意を示した。
稲葉良司・伊東観光協会長は「伊東の観光ダメージが大きかったのは確か」と事件を振り返った上で、「伊東が生まれ変わるきっかけになればとポジティブに考えながら対応していきたい」と話した。
伊東商工会議所の石井義仁専務は「前市長の逮捕に多くの会員事業所が驚いたが、少しずつ落ち着いてきている」と現状を説明し、「できるだけ早く収束することを願っている」と語った。