伊東版 2018年02月17日
■「断腸の思い、悔しさ痛感」
伊東市の小野達也市長は16日、市役所で記者会見し、申請が出ていた同市八幡野で建設が計画されている「伊豆高原メガソーラーパーク発電所(仮称)」について、15日付で事業者に宅地造成等規制法(宅造法)の許可を行ったことを明らかにした。小野市長は計画の反対は変わらないとし、許可については「断腸の思いだった。国策とはいえ、一人一人の思いが届かない悔しさを痛感した」と語った。今後は県による森林法の審査の行方が注目される。事業者は4月か5月の着工を目指している。
宅造法の申請があったのは昨年4月。小野市長は林地開発許可申請が提出されている県と連携を図りながら、10カ月にも及ぶ慎重な審査を行ってきたとし、「宅造法で定められた技術的な基準などを満たしたことから許可した。計画に反対、定められた事項以外の理由で許可を出さない・審査を引き延ばすことは行政手続法上、許されない」と述べた。
一方で、開発規模が大きい、住民への対応が不十分、計画への不安、懸念が払しょくされていない状況などを踏まえ、できる限りの条件を付した、と説明。具体的には▽工事の安全管理をあらかじめ地元区、町内などに説明▽工事中に事故や災害が発生した場合は速やかに市長に報告▽台風や豪雨があった場合は速やかに現場巡回を実施し市長に報告−などで、事業者に住民への真摯(しんし)な対応と工事中、施行後の防災対策の徹底を強く求めた、という。
計画されているメガソーラーパーク発電所は、事業面積が約105万平方メートル。太陽光パネル約12万枚の設置を計画し、発電量は約40・7メガワットという。
■建設阻止へ「訴訟準備」 反対団体、住民無視、強く抗議
伊豆高原メガソーラーパーク発電所(仮称)の建設に反対する住民団体は、市が許可を出したことに対して強く抗議する声明を発表した。「住民同意がなく多くの不備がある計画に対して許可を下ろすことは住民無視と言わざるを得ず不信感を覚える」として、建設計画を止めるために訴訟の準備をしていることを明らかにした。
伊豆メガソーラー建設の中止を求める会の関川永子代表は「許可の取り消しを求める行政訴訟を起こす。早急に原告団を組織して、審査基準や手続き上の瑕疵(かし)について争っていく」と話した。
■合同会社 住民の安心安全へ努力
事業者の伊豆メガソーラーパーク合同会社の担当者は「書類を確認していないが、これからさらに厳しい道のりになる。着工後は住民の安心安全を重く考え、一つも事故災害を出さないよう努力していく。今後も海の団体や行政区を優先に協議を進め、互いの理解を深めていきたい」とコメントした。
【写説】報道陣を前に事業申請を許可したことを明らかにする小野市長=市役所