伊東版 2017年07月13日
■森林保全など対応示す 小野市長「中間的報告、結論に期待」
伊東市八幡野の大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設計画で、事業者の伊豆メガソーラーパーク合同会社=朴聖龍(パク・ソンヨン)代表=は12日、市役所で地域住民が懸念する10項目への対応をまとめた回答書を小野達也市長に手渡した。「白紙撤回」については「関係者、弁護士を含めたチームでいろいろな角度から慎重に検討している。来週回答する」とした。小野市長は「(白紙撤回の回答がない)現時点では中間的な報告。最終結論に期待している」と述べた。
小野市長は6月28日、計画の白紙撤回の求めとともに朴代表に住民らの懸念内容を手渡している。10項目は(1)土砂崩壊・流出による八幡野川・八幡野漁港・海・八幡宮来宮神社への影響(2)漁業、スキューバダイビングなど観光産業への影響(3)大室山など観光地としの景観への影響(4)ユネスコ世界ジオパーク認定への影響(5)動植物や土壌の微生物など生態系への影響(6)太陽光パネルによる温度上昇などの影響(7)近隣別荘地の水源(地下水)への影響(8)森から追われた動物などによる農作物や日常生活への影響(9)完成後の事故・災害発生時の責任所在(10)売電事業終了後の施設の維持管理の責任所在−。
回答書で、(1)は流域面積に対する必要調整容量を超える沈砂池を含む調整池を3カ所設置し、下流部の八幡野川が氾濫しないよう適切な放流をする、(3)はソーラーパネルを森林幅約30~400メートルで覆い、大室山からソーラーパネルが見えないようにする、(4)はできる限り森林を残し、自然環境を保全する計画とする、(9)は完成後は会社の本店所在地を伊東市に移転、緊急災害に対応できる体制を整備、事業区域内で事故・災害が発生した場合は責任を持って賠償−などとしている。
小野市長は回答書を、計画反対の団体代表に郵送するという。
計画では事業面積約105万平方メートル、ソーラーパネル設置枚数約12万枚、発電量約40・7メガワットを予定。計画に対し、住民ら延べ2万5千人以上が反対の署名を行い、市に提出している。
【写説】朴代表(右)から回答書を受け取る小野市長=市役所